低用量ピルは避妊や生理不順の解消に効果的な低用量ピルです。女性のさまざまな悩みを解消することができます。
しかし、副作用が心配で低用量ピルの服用をためらってしまう方が多いのも事実です。
そこで本記事では、低用量ピルの副作用について解説します。
低用量ピル製品の副作用
低用量ピルは女性ホルモンの分泌に影響を与えるため、生理前後の諸症状と似たような副作用が現れることがあります。
・肌荒れ
・むくみ
・頭痛
・嘔吐
・下痢
・不正出血 など
また、低用量ピル服用中は妊娠中のホルモンバランスに近い状態になるため、妊娠中に現れる症状(胸の張りや吐き気など)を感じる方もいます。
低用量ピルに限らず低用量ピルでは飲み始めに副作用が現れることが多く、1~2週間ほどで治まることがほとんどです。
これは乱れていたホルモンバランスが整ってきた証拠でもありますので、生理不順や生理痛の改善も期待できるでしょう。

確認されている副作用と確率
低用量ピルの添付文書によると、副作用として報告されている症状と確率は次のようになります。
確率 | 症状 |
---|---|
5%以上 | 下腹部の痛み、悪心、嘔吐、頭痛 |
1~5%未満 | むくみ、体重増加、下痢、腹痛、めまい、頭痛、ニキビなど |
1%未満 | おりものの増加、乳房の痛み、食欲の変化、眠気、抑うつ、肩こりなど |
※参考:
医療用医薬品:低用量ピル
低用量ピル|製品情報|バイエルファーマナビ
特に注意したい副作用
低用量ピルの服用で良くある副作用は、吐き気や頭痛といった症状です。ですが、こういった副作用は大した問題ではないのですが注意が必要な副作用が血栓症です。
血栓症は、血液が固まってできた血栓が血管内にでき、血流を妨げてしまう病気です。
定期的な健康診断を行っていれば血液成分の異常などが早期に発見できて対処ができます。
例えば、エコノミークラス症候群や動脈硬化も血栓を作る原因となりますが、低用量ピルに配合されている成分も血液を凝固させる可能性があります。
また、偏頭痛持ちの方や喫煙者、肥満、40歳以上の方(動脈硬化が起きやすい)などは元々血栓ができやすいと言われていますので特に注意が必要です。
定期的な採血検査などで初期症状を発見して大事に至らないようにな気遣いが必要です。
・手足の痺れ、脱力
・ふくらはぎの痛み、腫れ
・めまい
・目のかすみ
・舌のもつれ、喋りにくい
・激しい頭痛
・息苦しさ、息切れ
・胸の痛み
・失神 など
血栓症は最悪の場合、命を落とすこともあるため、見過ごしてしまうことがないように注意しましょう。
低用量ピルの副作用についてよくある疑問
低用量ピルの副作用について、よくある心配事と改善について整理してみました。
低用量ピルの副作用で鬱(うつ)症状がおこる?
近年問題となっている鬱ですが、低用量ピルの服用後に気分の落ち込みや不安感と症状が、鬱やイライラなどといった感情のコントロールができなくなる事象が報告されています。
海外の研究所ではありますが実験結果でも感情のコントロールに関する副作用が認められましたが、低用量ピルがうつ症状の直接的な原因になるかは証明されていません。
副作用自体は一過性のモノが多いため、感情の乱れも次第に消失していくと考えられます。
しかし、PMSやPMDDなどの改善目的で低用量ピルを使用する場合には、感情の乱れが悪化してしまうのはとても辛く感じると思います。
うつ症状が辛い場合や長引く場合には、医師への相談、他のピルへの切り替え、治療法の変更を検討することをおすすめします。
低用量ピルを飲むと太る?
低用量ピルなどのホルモン剤を服用すると体重が増加すると言われています。
しかし、うつ症状と同様に、低用量ピルと体重増加の因果関係は報告されていません。
「低用量ピルを服用したら太った」と感じるのは、副作用のむくみや食欲増進、便秘などが関係している可能性があります。
低用量ピル自体が体重を増加させるのではなく、低用量ピルの副作用が体重増加に繋がっているということです。また低用量ピルは女性ホルモン剤ですので女性らしく体形として胸が大きくなるなどの影響も予想されます。
身体のむくみはしばらくすると治まることがほとんどですが、食欲が増したと感じる場合には意識的に食事の量をコントロールしましょう。
また、適度な運動を取り入れることも大切です。
低用量ピルの副作用は強い?
低用量ピルの副作用は、低用量ピルの中でも比較的軽いと言われています。
低用量ピルは、製品によっても卵黄ホルモンと黄体ホルモンの配合量が多少異なり、それで副作用の出方も違ってくるようです。もちろんお薬との相性もあるので一概にどの製品が良いとはいません。
しかしながら、低用量ピルの中でも、黄体ホルモンの変化がある製品もあります。
こちらは、1周期あたりの黄体ホルモンの配合量によって「1相性」と「3相性」に分かれています。
- 1相性:ホルモンの配合量が一定
- 3相性:ホルモンの配合量が3段階に変化
低用量ピルは3相性に分類されます。
ホルモンバランスが自然に近い流れで変化していくため、副作用が軽度で済むのです。
低用量ピルはどれくらいで慣れてきますか?
低用量ピルの副作用は飲み始めから1~2ヶ月頃がピークで、服用から3ヶ月ほど経過すると気にならなくなる方がほとんどです。
低用量ピルがダメだった人の多くが初めの1,2か月で諦めてしまう人なようです。
人によっては全く副作用が起きない人もいる反面、まったく低用量ピルを体が受け付けないという人いるようです。
通常は3ヶ月以上服用を続けても副作用が緩和されない場合は体質に合っていない低用量ピルを諦めるか、異なるタイプ(製品)をお試しください。
例えば、黄体ホルモンの量が少なめになっている「超」低用量ピルなどもあります。

低用量ピルの副作用が出た際の対処法
低用量ピルは避妊を目的としたピルですが、副作用によって本来の効果が無くなってしまう可能性もあるため適切な対処が必要です。
ここからは、低用量ピルを服用して副作用が出た際の対処法や注意点を解説します。
ピルを飲んだ後に嘔吐や下痢が起きた場合
低用量ピルを服用してから1~2時間以内に嘔吐や下痢をしてしまった場合、有効成分が身体に吸収される前に体外に排出されてしまいます。
嘔吐については容易に理解できるでしょうが、下痢はお薬が消化吸収されずに排便されてしまうので注意が必要です。このような場合では、低用量ピルとしての本来の効果である避妊やホルモンのコントロールが十分に行なわれません。
万が一服用後すぐに嘔吐や下痢をしてしまった場合は、もう1錠追加で服用することをおすすめします。
通常は1箱が1か月分で余分なお薬はないはずですので、余分に購入しておく事もおススメされています。また、これらの副作用が頻繁に起こる場合には、低用量ピルと併用可能な市販の胃腸薬や吐き気止めを服用して副作用をコントロールしましょう。
ニキビや体毛の増加が気になる場合
人間は性別問わず、身体の中に男性ホルモンと女性ホルモンを持っています。
特に、男性ホルモンは皮脂の分泌を増加させたり体毛の発育を促進させます。
低用量ピルに含まれる成分に男性ホルモンと似た働きをするため、低用量ピルを服用するとニキビや体毛の増加を感じる方がいるのです。
そのため、ニキビや体毛が気になる方は男性ホルモン活性が低いピルに切り替えることで症状の改善が期待できます。
ノベロンやヤスミンといった低用量ピルも良いようです。また、副作用との兼ね合いもあり、こちらの方が吐き気を起こしやすいなどといった問題もあるかもしれません。
むくみや体重の増加が気になる場合
低用量ピルは含まれている女性ホルモンにより体内に水分が溜め込みやすくなったり、食欲が増加したりすることがあります。
むくみや体重の増加は、低用量ピルのこうした作用により起こるものです。
基本的には一時的な症状であり、食事量や栄養バランスに気を付けて食事をすれば問題ありません。
しかしむくみや食欲の増加が強く出る場合は、低用量ピルが体に合っていない可能性が考えられます。
服用を続けてもむくみや食欲の増加が収まらない方は、ピルの種類を変更することも検討してみてください。
低用量ピルの副作用が出やすい人
低用量ピルはお薬ですので、他のお薬と同様に服用される方の体の状況によっては期待しない作用が起きる場合があります。お体に何か持病等をお持ちの方は医師にご相談をしてからご利用ください。
低用量ピルの服用をするべきではない方
次に当てはまる方は、血栓症などの重大な副作用が発生しやすくなるとの報告があることから、低用量ピルの服用が禁忌とされています。
特定の病気を発症している、あるいは既往歴のある場合がほとんどですが、中には生活習慣に関わる内容もあるため注意してください。
・前兆をともなう片頭痛のある方
・肺高血圧症または心房細動を合併する心臓弁膜症の方
・亜急性細菌性心内膜炎の既往歴のある心臓弁膜症の方
・血管の病変をともなう糖尿病の方
・血栓性素因のある女性
・抗リン脂質抗体症候群の方
・脂質代謝異常のある方
・高血圧の方
低用量ピルを服用されるにあたって確認をするべき項目
次に当てはまる方は、低用量ピルにより心血管系の副作用が発生しやすくなると報告されています。
服用を避けるとまでは言いませんが、もしも低用量ピルを服用するのであれば十分に注意が必要です。
・喫煙者
・肥満の女性
・血栓症の家族歴を持つ女性
・前兆をともなわない片頭痛がある方
・心臓弁膜症の方
・軽度の高血圧の方
低用量ピルと飲み合わせが悪い薬
以下で紹介する薬は低用量ピルと相互作用があり、本来の作用に影響が出たり、副作用が起こりやすくなったりする恐れがあります。
低用量ピル以外の薬を服用中の方は、該当しているものが無いかチェックしておきましょう。
・抗うつ薬(イミプラミンなど)
・抗パーキンソン薬(セレギリン塩酸塩)
・免疫抑制薬(シクロスポリン)
・消化性潰瘍の治療薬(オメプラゾール)
・気管支拡張薬(テオフィリン)
・抗てんかん薬(フェノバルビタール、カルバマゼピンなど)
・テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリンなど)
・ペニシリン系抗生物質(アンピシリンなど)
・抗真菌薬(テルビナフィン、フルコナゾールなど)
・消炎鎮痛剤(サリチル酸)
・解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)
・セイヨウオトギリソウ含有食品
など

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